2004.12月の豆知識 

ゴルフ雑学

先日お客様から、FW NO.4 パーシモンのシャフト交換(スチールからカーボンシャフトへ)を修理依頼されました。FWはメタルよりパーシモンの方が良いとのことでした。いざ作業に取り掛かりましたところ、約20年程前にパーシモンのクラブ創っていた頃を思い出しました。現在のメタルのクラブを創る作業に比べるとそれはそれは大変な作業でした。工程からすれば50〜100の工程を踏まなければ1本のクラブの完成をみなかったのです。

柿の木を削り、全ての部品(フェース、ソール、ビス等)を装着し削りだすのですから、毎日毎日柿の木との戦いでした。仕事場は木くずや埃、アルミの屑等で夕方になると大変煩雑な仕事場になっていました。それから次は塗りの作業になるのですが、1本仕上げるのに約10日間はかかったものです。その間クラブとのまさに戦争でした。自分の気にいったクラブができ、お客様に喜んでいただけた時は大変嬉しかった事等々、郷愁の思いをいだきながらシャフト交換をしました。作業をすすめるにつれて、ヘッド自体が大変痛んでおりましたので、思い切り綺麗にしたくなりあちこち直し、ヘッド自体を新品同様に仕上げてしまいました。お客様にお渡ししましたら大変喜んでいただき、私も嬉しかったと同時に、FW自身も生まれ変わり一段と綺麗になり喜んでいることと思います。

現代は雑誌やインターネットの普及により、ゴルフ関する情報が豊富です。中でもシヤフトに関する情報は多く、種類も数も多種多量であります。その為今は自分がほしい物をより安く早く手に入る様になりました。このような状況の中、当店に持ち込まれてくる修理の中には、一度シャフト交換をし、再度のシャフト交換なりシャフトのすげ替えの再修理を受け、修理の為シャフトとヘッドをばらしてみると、ずさんなクラブ修理に驚かされます。最初の作業のシャフトとヘッドをばらすのも一苦労です。クラブをばらしてみると

・ シャフトの中に必要以上の接着剤が投入されている
・ シャフトとヘッドが真っ直ぐ入っていない
・ シャフトがヘッドの半分位までしか入っていない
・ 組み上げているだけでバランスがとれていない
・ シャフトとヘッドの接着部分をあらしていない
  あるいは削りすぎる
・ ソケット部分の粗雑な仕上げ

等々、外からみてわかるものもありますが、外からみてわからないものもあります。シャフトとヘッドをばらしてみて修理作業を始めてからわかることです。上記の様なずさんな工程での修理クラブが持ち込まれてくる度に、クラブ修理を長く携わってきた者においてはやりきれない思いになってしまいます。どんなに性能が良く、値段の高いシャフトもヘッドも雑な創り方をしていたら、そのもの本来の機能を十分発揮することは出来ません。家も土台(見えない部分)がしっかりしていることが、地震にも耐える長持ちの安全な家となるように、クラブ創りもしっかりした創りが安全なクラブであり、性能をフルに発揮しお客様の満足のいったクラブとなり、しいてはゴルフのスコアアップに繋がるのだと思います。

ゴルフクラブは、クラブの本体にばかり気をつけるのではなく、見えない部分のクラブ創りの方にも注意しながら、ゴルフクラブ選びを楽しんでいただきたく思います。そして、ゴルフはシニアになっても出来る限り楽しみたいものです。年齢と共に体力が変わり使用するクラブも変わってきます。その時々により自分に合うクラブを探すことこそよりゴルフを長く楽しめるコツと言えるでしょう。