ローカルルール第1号は女房族の洗濯ものがつくった
今はや女性の力は強くなるばかりですが、1882年のその昔でも、スコットランドでは女房族の力は強かったことを示すエピソードがちゃんと残っています。
セントアンドリュース・オールド・コースには川が流れており、この川は昔はもっと幅広く、市民の女房族はここで洗濯をし、井戸端会議に余念がなかったようです。洗濯物は川っぺりの芝生に広げ乾かしていました。
1882年のある日、あるゴルファーの打った球がこの洗濯ものの上にコロコロ転がって乗っかってしまいました。ルールでは"ボールが衣類の上に止まったら衣類はボールの下から引き抜くこと"となっています。当然ゴルファーはそうしようとしました。
その時、女房殿は「ちょっとあんた、何すんのよ。洗濯物が汚れちゃうじゃないのよっ」と講義しました。多分この女房殿、今の時代に生まれていたらウーマンリブの旗を振っていたと思われますが、これだけでは物足りなくて、仲間とロイヤル&エーシェントクラブに「こういうルールに改正して」とネジ込みました。
この女房たちの要求が入れられて、「洗濯ものの上に乗ったボールは無罰で拾い上げ、ドロップ」ということになったわけです。これがドロップの始まりで、ローカルルールという概念がつくられた初めとも言えます。
歴史は夜つくられるといいますが、ゴルフのローカルルール第1号は女房たちによってつくられたのです。